個人再生委員の選任|選任されないケースも

私は、2019年の11月に、積み重なった借金の返済が立たず、思い切ってある法律事務所に相談をしました。

その後大変お世話になる法律事務所の、最初の説明(打ち合わせ)のときに、次ように言われました。

・場合よっては裁判所から個人再生委員が選任される場合があること。
・そのときには新たに個人再生員との面接があること。
・個人再生委員が選任されると、約20万円ほどをの金額を裁判所に支払わなければならないこと。

以上のような説明を受けましたが、個人再生の手続が進む中で、私のケースでは、個人再生員を選任する必要はないことを裁判所から告げられました。

個人再生手続きで約40万円ほどの出費をすでにしているために、その知らせを受けて安堵したことを思い出します。

本日は、「個人再生委員」について記事をまとめてみたいと思います。
この記事が、あなたにとって少しでもお役に立てば、この上もなく幸せです。

目次

個人再生委員とは

個人再生委員とは、個人再生の手続において
債務者の財産・収入の状況の調査
再生債権の評価に関し裁判所を補助
このような内容の業務を行う立場の人です。

また、再生債務者が適正な再生計画案を作成するために、必要な勧告をおこなう、裁判所が選任する人のことをいいます。

個人再生委員は、倒産処理に精通している経験豊富な弁護士が選任されます。

東京地方裁判所(立川支部を含む。)では、全件について個人再生委員が選任されることになっています。

個人再生員が行う具体的な内容とは

  1. 債務者の財産状況の調査する
  2. 債務者の収入状況の調査する
  3. 債権の評価に関して裁判所を補助する
  4. 債務者が適正な再生計画案を作成するための勧告を行う

1.再生債務者の財産状況の調査する

個人再生手続とは借金を圧縮して分割返済する手続き

個人再生手続きは、簡単に説明すると、今ある負債を大幅に圧縮(減額)して、再生計画にしたがって、その圧縮した額を3年かけて(特別の事情がある場合には5年かけて)各債権者に対して分割弁済していくという手続きです。

弁済する総額を決める基準が3つあります

弁済する総額について、「今ある負債を大幅に圧縮(減額)して」と言いましたが、これも絶対なものではなく、弁済する総額を決めるにあたっては、清算価値基準可処分所得基準などの要件ががあります。
個人再生手続において、弁済総額がどのように決まるのかについては、下記の記事で詳しく説明していますので、どうぞご覧ください。

<参照>・・・個人再生における最低弁済額を深掘りします

2.債務者の収入状況の調査する

個人再生手続とは借金を圧縮して、3年(場合によっては5年)間で分割返済する手続きである以上、裁判所としては、再生債務者が、本当にこのような長期の分割返済が可能なのかについて厳しく判断します。
そこで、個人再生委員が裁判所に代わって、再生債務者の収入の状況を調査します。

具体的な調査方法としては、
申立書の内容を検討し、再生債務者及び申立代理人弁護士と面談して、追加で資料の提出を求めたり、報告を求めたりすることが行われます。

3.債権の評価に関して裁判所を補助する

再生債務者が再生計画に従って弁済する弁済総額は、清算価値基準可処分所得基準でなければ、基本的には負債総額の5分の1(負債総額によって異なります)程度という最低弁済額基準によって決まります。そのために、各債権者の債権額を正確に決めなくてはなりません。

個人再生手続においては、申立(代理人)側で作成する債権者一覧表の記載内容で、再生債権の届出がなされたものとみなされますが、時として、届出がなされた債権の額が合っていないということもあります。

そこで債権者は、一定の期間内に裁判所に対して、金額を正確に評価して欲しいという異議申立てをすることができます。

個人再生委員は、この評価について、債権者や債務者に根拠となる資料の提出を求めるなどして調査を行い、裁判所に調査結果に基づいて意見書を提出して裁判所を補助します。

4.債務者が適正な再生計画案を作成するための勧告を行う

再生債務者側は、裁判所が決めたスケジュールに従い、再生計画案を作成して裁判所に提出する必要があります。

実務では、裁判所が決めた再生計画案の提出期限のもっと前に、申立てを行った弁護士等が再生計画案を作成し、再生委員に計画案を送って、内容に間違いがないかを確認してもらいます。

再生委員は、不認可の要件はないかを検討し、必要に応じて勧告(助言や修正)を行い、適正な再生計画案を作成する手助けをします。

個人再生委員の選任に関して

個人再生委員を選任するかどうかは裁判所の判断によります。

法律上は、すべての個人再生申立事件について個人再生委員を選任しなければならないわけではありません。
しかし、多くの地方裁判所では、申立人本人(弁護士等を代理人としないで)が個人再生手続き開始の申立てをした場合は、基本的に個人再生委員を選任するものとしています。

他方で、弁護士を代理人として個人再生の申し立てをおこなった事件については、基本的に個人再生委員を選任しないとする裁判所が多いです。

東京地方裁判所など、基本的にすべての個人再生事件について個人再生委員を選任することとしている裁判所もあります。

個人再生委員の選任に対する費用

個人再生委員が選任された場合には、その報酬も予納金として準備する必要があります。
申立ての費用とは別に20万円~30万円前後の予納金が必要になります。

「債務整理」の手続きは、大変高度な法律の知識が必要ですし、膨大な書類の作成や資料集めが必要になります。とてもわれわれ素人ができるような仕事内容ではありません。

最後に一言

「個人再生」の手続きは、大変高度な法律の知識が必要ですし、膨大な書類の作成や資料集めが必要になります。とてもわれわれ素人ができるような仕事内容ではありません。

専門家にお願いすれば、当然費用が伴いますが、その支払い計画もあなたの収入等に合わせて、無理のない提案をしていただけます。

そして何よりも、今回お話した「個人再生委員」が裁判所から選任されずに、担当してくださる弁護士の先生が、全て代理手続きをしてくださる可能性は高いです。つまり、裁判所に予納金を支払わなくて済む可能性が高いということです。

あなたが現在「借金による悩み」で、何をしていても不安や苦しみの中でもがき苦しみ、夜も眠れないほど神経が侵されているとしたら、うつ向いて立ち止まっていてはいけません。

「借金問題」というものは火災と同じで、時間とともに火の手は広がっていくからです。
利子が利子を生み、返済のために別の金融機関から借り入れを繰り返し、気づいたときには手がつけられない状態になっているものです。

火事になったときには119番で消防署に連絡するのは当たり前のことですね。
それと同じように、「借金問題」で自分で解決ができないなら、専門家(弁護士や司法書士)に相談して解決の道筋を立てていただくべきです。

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